バリ島には数々の神秘的な遺跡がありますが、その中でもひときわ異彩を放つのがグヌンカウィ遺跡です。豊かな自然と渓谷に囲まれたこの場所は、静けさと荘厳さを併せ持ち、訪れる人々を魅了してやみません。歴史や宗教が色濃く息づく空間で、バリの精神文化を体感してみませんか。
グヌンカウィ遺跡とは

グヌンカウィ遺跡は、バリ島中部のウブド近郊・タンパクシリン村に位置する、11世紀頃に造られたとされる王族の墳墓群です。断崖に彫り込まれた巨大な石窟は高さ約7メートルにもおよび、自然と一体化した神秘的な雰囲気を漂わせています。
美しい棚田に囲まれた静かな谷に佇むこの遺跡は、歴史的価値が高いだけでなく、バリ島の精神文化や信仰を体感できる特別な場所として、多くの観光客や巡礼者を惹きつけている観光スポットです。
- 住所:Sebatu, Tegallalang, Gianyar Regency, Bali 80511 インドネシア

グヌンカウィ・スバトゥ寺院
グヌンカウィ遺跡の近くには、「聖なる泉の寺院」と呼ばれるグヌンカウィ・スバトゥ寺院があります。この寺院は、湧き水が絶えず流れる聖なる泉を中心に築かれており、現地の人々にとっては身を清める重要な沐浴場でもあります。境内には複数の池や祠があり、花が浮かぶ美しい水面と静けさに包まれた空間が広がっています。
観光客も清めの儀式に参加することができ、白いサロンを巻いて泉に入ることで心身ともにリフレッシュできると人気です。遺跡と合わせて訪れることで、より深くバリの精神文化に触れることができます。
王様のお墓
グヌンカウィ遺跡には、10基のチャンディと呼ばれる岩窟祠堂が残されており、これらはかつての王族の墓と伝えられています。特に、ウダヤナ王の息子であるアーナック・ウンス王を祀ったとされるチャンディが最も有名です。東側の崖には王のための祠堂、西側には王妃や王子たちのものが配置され、バリの古代王朝の権威と信仰を感じさせます。
祠堂は高さ約7メートルもあり、堅い岩を削り出して造られたとは思えないほどの精巧さと壮大さを誇ります。周囲には水路が流れ、鳥のさえずりが響く中、静かに佇むその姿は訪れる者に深い感動を与えてくれます。
世界遺産
グヌンカウィ遺跡自体は単独の世界遺産ではありませんが、周辺一帯は2012年にユネスコの世界文化遺産「バリ州の文化的景観」の一部として登録されています。これは、バリ島特有の水利システム「スバック」を中心に、農業・信仰・自然が見事に調和している点が評価されたものです。
グヌンカウィ周辺には美しい棚田や水の寺院が点在しており、まさにこの価値を体現しています。信仰の対象でありながら、今なお人々の生活と結びついている姿は、バリの文化がいかに自然と共生しているかを教えてくれます。訪れることで、その価値を肌で感じることができるでしょう。
グヌンカウィ遺跡見どころ

グヌンカウィ遺跡の最大の魅力は、自然と調和した神秘的な空間にあります。高さ約7メートルのチャンディが崖に沿って並ぶ姿は壮観で、バリ島最大規模の石窟遺跡として知られています。
断崖の下に佇む寺院や渓谷を流れる清流も神聖な雰囲気を醸し出し、訪れる人の心を静めてくれます。緑に包まれた参道も美しく、歩くだけでバリの自然や文化を全身で感じられる特別な場所です。
バリ島最大の石窟遺跡
グヌンカウィ遺跡は、バリ島で最大規模の石窟遺跡として知られています。11世紀頃、固い岩を手作業で掘削して造られたとされるチャンディ(祠堂)は、圧巻の高さ約7メートル。その数は合計10基にのぼり、東西の断崖に対を成すように配置されています。
これらは王族の墓と信じられており、王とその家族のために築かれた神聖な場所です。宗教的な意味合いと同時に、当時の建築技術の高さや精神文化の深さを感じさせてくれます。訪れる者に静けさと敬意を呼び起こすその姿は、まさにバリ島の歴史を物語る壮大なモニュメントです。
断崖の下にある寺院
遺跡の谷底には、今も現地の人々が祈りを捧げる寺院がひっそりと佇んでいます。寺院はチャンディと並び立つように建てられ、流れる川の音と木々のざわめきの中、神秘的な雰囲気を放っています。この場所では毎朝のように現地の人々が供物を捧げ、祈りを捧げる光景を見ることができ、観光地でありながら、今も生きた信仰の場としての一面が息づいています。
観光客も足を踏み入れることができますが、肌を露出しすぎない服装や静かな振る舞いなど、現地の信仰への配慮が求められます。寺院の空気に包まれれば、自然と心が静まり返るような感覚に包まれるはずです。
遺跡までの道
グヌンカウィ遺跡へ向かうには、300段以上の石段を下っていく必要があります。この道中がまた、訪れる価値を高めてくれる大きな魅力の一つです。道の両脇には棚田が広がり、椰子の木やバナナの木が揺れる中を進むと、バリの自然と農村の風景にどっぷりと浸ることができます。
途中には現地の人々が営む露店も点在し、手作りのバティックやジュースなどを楽しむことも。階段を下りきった先に広がる遺跡の荘厳な姿は、まるで異世界に足を踏み入れたかのような感覚を呼び起こします。往復は少し体力を使いますが、その価値は十分にあると実感できるでしょう。
グヌンカウィ遺跡のベストシーズン

グヌンカウィ遺跡を訪れるなら、自然の美しさと遺跡の荘厳な雰囲気をより深く味わえる乾季(4月〜10月)がベストシーズンです。ただし、雨季やお祭りの時期も異なる魅力があります。それぞれの季節の特徴を知って、自分にぴったりのタイミングで訪れてみましょう。

乾季
バリ島の乾季は5月から9月にかけて続き、グヌンカウィ遺跡を訪れるにベストな時期です。この季節は雨が少なく、気温は日中で約30度前後と過ごしやすいのが特徴です。空気が澄んでおり、遺跡を囲む緑や岩肌がよりくっきりと映え、カメラにも美しく収まります。
また、階段や参道も乾いているため歩きやすく、体力を使う移動も比較的快適です。清々しい朝に訪れれば、静寂に包まれた神聖な雰囲気をより深く味わうことができるでしょう。観光シーズンではありますが、広大な敷地のため混雑をあまり感じにくいのも嬉しいポイントです。
雨季
雨季は11月から3月頃にかけて訪れます。この時期はスコールのような一時的な雨が多く、地面が滑りやすくなることもありますが、しっとりとした空気と濃密な緑が遺跡をより神秘的に彩ります。谷底の寺院周辺では霧が立ちこめることもあり、幻想的な雰囲気に包まれることもしばしばです。
流れる川の水量も増し、自然の音がより豊かに響くのも雨季ならではの魅力です。観光客が比較的少ないため、ゆっくりと自分のペースで見て回りたい方にはおすすめです。服装や靴には多少の工夫が必要ですが、しっとりとしたバリの魅力を感じたいなら雨季も悪くありません。
クニンガン祭り
グヌンカウィ遺跡を特別な雰囲気の中で訪れたいなら、バリ島の伝統的な祭礼「クニンガン」の時期を狙うのもおすすめです。クニンガンはガルンガンという先祖供養の祭りの10日後にあたり、神々や祖霊が天に帰る日とされています。この期間中、遺跡や寺院では華やかな供物が捧げられ、現地の人々が正装で祈りを捧げる姿を見ることができます。
祭りは210日に一度巡ってくるバリ暦に基づくため、毎年日付が異なりますが、通常は乾季に当たることが多いです。グヌンカウィの静寂な空間が色とりどりの飾りや祈りの音に包まれ、神秘性が一層際立ちます。バリ文化の深さを肌で感じられる、またとないチャンスです。
グヌンカウィ遺跡観光の営業時間と入場料

グヌンカウィ遺跡は毎日8時から18時まで一般公開されており、朝の涼しい時間帯に訪れるのがおすすめです。入場料は外国人観光客の場合、大人が50,000ルピア(約480円)、子どもが25,000ルピア(約240円)ほどです。入場時にはバリの伝統衣装であるサロンとスレンダンの着用が義務付けられており、入口で無料または有料でレンタルできます。
駐車場も整備されており、車やバイクでもアクセスしやすくなっています。現地では現金支払いが主流のため、事前にルピアを用意しておくとスムーズ。自然と歴史に包まれた神聖な空間を、ゆったりと味わってみてください。
グヌンカウィ遺跡への行き方
グヌンカウィ遺跡はウブド中心部から車で約30〜40分ほどの距離にあります。移動手段は主にタクシー、カーチャーター、バイクの3つで、それぞれにメリットがあります。予算や旅行のスタイルに合わせて選びましょう。


タクシー
ウブドやングラ・ライ国際空港(デンパサール国際空港)からグヌンカウィ遺跡へは、タクシーを利用することができます。メーター制のタクシーは少なく、ほとんどが交渉制となるため、事前に料金を確認しておくことが大切です。ウブドからであれば片道150,000〜200,000ルピア程度が相場で、往復交渉することで割引される場合もあります。
運転手とのやりとりが必要ですが、直接目的地まで運んでくれるため、土地勘がなくても安心です。ただし、観光地ではタクシーの台数が限られていることもあるため、帰りの足を確保しておくと安心です。


カーチャーター
一日または半日で自由に行き先を決められるカーチャーターは、グヌンカウィ遺跡を含めて複数の観光地を巡りたい人におすすめです。日本語ガイド付きや英語ドライバーのサービスもあり、料金は1日チャーターで600,000〜800,000ルピアが目安です。
冷房付きの車で移動できるため、暑さや急な天候の変化にも対応でき、快適に観光が楽しめます。時間の使い方も自由度が高く、遺跡見学の後にティルタエンプル寺院やウブドの中心街に立ち寄ることもできます。グループ旅行や家族連れにもおすすめの方法です。

バイク
より自由に、そして格安でグヌンカウィ遺跡を訪れたい場合は、レンタルバイクの利用も選択肢に入ります。レンタル料金は1日あたり60,000〜100,000ルピア程度で、ガソリン代も安価です。渋滞の多いバリ島では、小回りの利くバイクが移動に便利で、自然の中を走る爽快感も魅力です。
ただし、道中には急な坂道や舗装されていない箇所もあるため、運転経験のある方に向いています。また、バリでは国際運転免許証が必要とされるため、事前の準備が必要です。安全面に気をつけながら、冒険気分で訪れたい方にはぴったりの手段です。
グヌンカウィ遺跡持ち物3つ

グヌンカウィ遺跡は自然の中に広がる広大な遺跡で、訪れる際には持っておくと便利なアイテムがあります。快適に観光を楽しむために、事前に準備しておきたいおすすめの持ち物を3つご紹介します。

歩きやすい靴
グヌンカウィ遺跡へは、長い階段(約300段)を下る必要があります。途中には滑りやすい箇所や傾斜もあるため、サンダルではなく、グリップのしっかりしたスニーカーやトレッキングシューズがおすすめです。雨季の場合はぬかるみや苔で足元が滑りやすくなるため、滑り止めがついている靴だとさらに安心です。
現地では道が舗装されていない場所もあるので、汚れてもよい靴を選ぶと快適に歩けます。足元の不安を減らすことで、遺跡見学に集中でき、写真撮影や周囲の自然もゆっくり楽しめます。
飲み物
階段を上り下りしながら見学するグヌンカウィ遺跡では、特に乾季の暑い日には水分補給が欠かせません。現地にも飲み物を売っている露店はありますが、売店が遠い場所もあるため、あらかじめ水やスポーツドリンクを持参すると安心です。500mlのペットボトルを1〜2本持っておくと、熱中症予防にもなります。
また、遺跡周辺は木陰も多いですが、日差しの強い場所もあるため、こまめに水分を取ることで体調を崩さずに観光を楽しめます。特に家族連れや高齢の方との旅行では必須のアイテムです。
サロン(腰巻き布)
グヌンカウィ遺跡やその周辺の寺院では、宗教的な礼儀として腰にサロンを巻いて見学することが求められます。入口で無料または有料で貸し出されることが多いですが、自分のものを持って行くと便利で衛生的です。サロンは軽くてかさばらず、お土産屋でも手に入りやすいため、旅の記念にもなります。
また、急な冷房や日差し対策としても使えるので、1枚あると非常に重宝します。特にスバトゥ寺院などで沐浴を体験したい方は、濡れても良い素材のサロンを用意しておくと快適です。

グヌンカウィ遺跡注意点3つ
グヌンカウィ遺跡を安全かつ快適に楽しむためには、いくつかの注意点を事前に知っておくことが大切です。現地の文化や自然環境を尊重しながら、気持ちよく観光するためのポイントを3つご紹介します。
石の階段
グヌンカウィ遺跡までは、約300段の長い石段を下って行く必要があります。段差が不規則な場所もあり、苔や湿気で滑りやすくなっている箇所もあるため、足元には十分注意が必要です。特に雨季や朝夕は石が濡れて滑りやすくなるので、手すりや壁沿いを意識して歩くと安全です。
また、帰りは上り階段になるため、体力に自信のない方や小さなお子様連れの方は、休憩を取りながら無理なく行動することが大切です。途中には眺めの良い休憩スポットもあるので、自然を楽しみつつゆっくり登りましょう。
寺院でのマナー
グヌンカウィ遺跡は観光名所であると同時に、今も現地の人々が祈りを捧げる神聖な場所です。寺院の境内では、肩や膝を露出しない服装を心がけ、必ずサロンとスレンダン(腰布と帯)を着用しましょう。写真撮影も自由な場所が多いですが、儀式中の人々や供物への接触は避け、静かに見守るのがマナーです。
また、ヒンドゥー教においては、「血」は不浄なものとされており、怪我人や生理中の女性は入場を控えるよう求められることもあるため、事前に現地の宗教的習慣を理解しておきましょう。現地の文化を尊重することで、より深い体験と好印象の旅行になります。
トイレ
グヌンカウィ遺跡周辺のトイレは、観光地とはいえ設備が簡素な場合があります。紙が備え付けられていないことも多いため、トイレットペーパーやウェットティッシュを持参しておくと安心です。また、使用済みの紙を流せない場所もあるため、備え付けのごみ箱に捨てるなどのマナーを守りましょう。
衛生面を気にする方は、アルコールスプレーや携帯用の除菌シートを持っていくのもおすすめです。遺跡内ではトイレが限られているため、入場前や出発前に一度済ませておくと、見学中に安心して過ごせます。
グヌンカウィ遺跡周辺の観光スポット
グヌンカウィ遺跡の周辺には、歴史や自然、美しい景観を楽しめる名所が点在しています。どれも車で30分圏内の距離にあり、遺跡観光とあわせて1日で巡るのにぴったりな場所ばかりです。バリ島の多彩な魅力を感じられるスポットをご紹介します。
ティルタ・エンプル寺

ティルタ・エンプル寺院は、グヌンカウィ遺跡から車で10分ほどの場所にある、水の神様を祀る聖なる寺院です。境内には浄化の儀式に使われる沐浴用の泉があり、現地の人々が日々身を清めに訪れています。
グヌンカウィの神聖な空気と合わせて巡ることで、より深く精神的な癒しを味わえる特別な時間になるでしょう。静かな場所で心を整えたい方におすすめの観光スポットです。

テガララン・ライステラス

グヌンカウィ遺跡から車で約25分の場所にあるテガララン・ライステラスは、バリを代表する美しい棚田の風景が広がるスポットです。緑が折り重なるように続く段々畑は、世界中の旅行者が訪れる絶景ポイントで、写真映えも抜群。
周辺にはカフェやブランコ体験などのアクティビティも豊富で、自然を満喫しながらのんびりと過ごせます。グヌンカウィ遺跡で歴史と信仰を体感した後、開放感のある棚田で心を癒せる流れは、バリ島ならではの贅沢な一日を演出してくれます。

ウブド王宮

ウブド王宮は、グヌンカウィ遺跡から車で約30分、ウブドの中心地にある伝統建築が美しい歴史的建造物です。かつての王族の住居であり、現在も王族の子孫が暮らしている場所として、バリ島の文化と深く結びついています。
宮殿内ではガムラン演奏やバリ舞踊の公演も行われており、バリの芸術文化に触れるにはおすすめなスポットです。遺跡で古代の王朝に想いを馳せた後、現代に生きるバリの伝統を王宮で感じることで、文化の連続性を肌で感じられます。


ゴアガジャ遺跡

ゴアガジャ遺跡は、グヌンカウィ遺跡から車で約20分の場所にある、岩に彫られた巨大な顔の入口が印象的な古代の遺跡です。別名「象の洞窟」と呼ばれ、11世紀頃に造られたこの場所は瞑想や修行の場だったとされています。
グヌンカウィと同時期に作られたとされるため、併せて訪れることでバリの古代宗教や建築の違いを比較しながら楽しむことができます。神秘的な雰囲気が好きな方に特におすすめです。

まとめ
グヌンカウィ遺跡は、自然と歴史、信仰が見事に融合したバリ島でも特に神秘的なスポットです。巨大な岩窟や静かな寺院、美しい棚田が織りなす風景は、訪れる人の心に深く残ります。
静けさの中に力強さを感じるこの場所で、日常では味わえない特別な時間を過ごしてみませんか。バリ島の文化と自然の豊かさを全身で感じたい方に、ぜひ足を運んでほしい場所です。