世界最大のイスラム国インドネシアの中にあって、ここだけヒンズー教の島という特殊な歴史をもつバリ島。神々の島といわれるこのバリ島では、毎日人々は神様に捧げものをし、祈り、どこかのお寺ではお祭りが行われています。
バリ島で生活するには、人々がどれだけ宗教と関わりあって生活しているかを知ることは大切なこと。ヒンズー教は自然信仰のある我々日本人にも受け入れやすいものでした。
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バリ島にはお祭りがいっぱい
バリ島のヒンズー教はインドから伝わったヒンズー教に土着の自然崇拝を取り入れたバリ島独特のかたちになっています。自然を崇拝してるあたり、八百万の神を信じる日本人とも似ています。
バリ島に来ると、宗教がどれだけ人々の生活と結びついているか実感することができます。
毎日の習慣としての祈り、満月や新月の時には家寺に特別なお供えものをして祈り、先祖への祈り、サラスワティ(弁天様)の日は本に供え物をささげて学問向上を祈るなど、お祭りごとが多々あります。それがバリ島を「神々の島」と呼ぶ所以になっているのです。
バリ島にはバリの暦がある
バリ島の宗教行事にはバリ島独特の暦が使われます。ヒンズー教が伝わったのが16世紀で、それ以前に使われていたのがサカ暦、その後使われるようになったのがウク暦です。サカ暦は1年を約355日とし、ウク暦は210日としています。
バリの宗教行事の日はこの二つの暦のどちらかを使って決められることになります。私たちが使っている西暦とは異なるため、行事が毎年同じ日にならないのです。
バリ島のガルンガン(迎え盆)・クニンガン(送り盆)
ガルンガン、クニンガンとは
ガルンガン、クニンガンとは、日本でいうところの迎え盆と送り盆のことです。バリの家には必ず敷地内にお寺があります。そこに祖先が帰ってくると信じられています。
祖先をお迎えするために、竹でつくった飾りを門に飾るので、その時期が来ると通りに竹の飾りが並ぶのできれいです。
また、その時期にはバリ人は田舎に帰るので、前後3日間お休みになるお店が多くなります。インドネシアではバリ島だけの習慣ですが、銀行や役所も閉まってしまうので、知らないと仕事にも影響がでることもあります。
バリ島のムルカット(沐浴)
ムルカットとは
ムルカットとは沐浴のことです。バリ島の場合は、穢れや悪霊を払い落とすと信じられています。最近では観光客でもこのムルカットを体験するツアーがあります。
たいてい、お寺の中の沐浴場や滝などでします。近くには必ずお寺があるので、そこで神様にまずお祈りを捧げ、瞑想をし、それから沐浴するという流れです。終わったら、また神様に祈りを捧げて終了。
悪霊がとりついてトランス状態に陥ってる人も見たことがあります。その人の親戚たちが悪霊を祓うべく滝に連れてきて無理やり水浴びさせていました。
それを見てびっくりしていた私ですが、そんなことが日常茶飯事のバリ人たちは驚くことなく冷静に見ていたのが印象的でした。
バリ島のニュピ(新年)
ニュピとは
ニュピとは新年のこと。別名「沈黙の日」とも呼ばれ、その日一日外出禁止となり、電気、火も使わず、日の出から翌日の日の出まで静かに瞑想をして過ごすという日です。
この日は観光客もそのルールに従ってホテルから外に出ず、飛行機の発着もなしと徹底しています。昨今ではテレビやインターネットも利用できないほど。
その前日には各地で悪魔、鬼を模した山車が練りあるく一大イベント「オゴオゴ」があり、見ものです。ニュピは新月の日と決まっているので月明りもなく、天気がよければ満天の星が一層輝くのを見ることができる、世界でも注目される日なのです。
バリ人の人生はお祭りに始まりお祭りに終わる
生まれてすぐの儀式、生後12日、生後42日の儀式と続き、お食い初めにあたる生後3か月の儀式が行われます。また、バリの暦では人の誕生日は210日ごとくるので、普通の暦で年に2回「オトナン」といわれる誕生日の儀式があります。
一般的に17歳くらいになって犬歯を削る「ポトンギギ」という儀式を済ませると成人と認められ、結婚もできます。通常、結婚式のときに一緒にこの儀式をしてしまう人が多いです。
亡くなると、火葬して海に灰を巻き自然に戻って一生を終えることになります。個人の儀式でもこれだけあり、儀式に備えるお供えものや飾りつけなど、現実問題お金もかかり、バリ人は儀式のために仕事していると言っても過言ではないかもしれません。
まとめ
日本人のお正月には神社、お盆にはお寺に行くといった、特別な時だけの「宗教」ではなく、ここでは毎日の生活が「宗教」と結びついています。
「お盆だから、お寺行く? めんどくせー」とか、日本の若者の口から出そうな言葉も、この島の若者から聞くことはありません。そればかりか、なにか問題がおこると、祈りが足りなかったと、さらに神様に祈るのです。
彼らの信仰心の厚さ、これからも変わらないでと願わずにはいられません。
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