バリ島の伝統芸能の中でも人気が高いのが、ケチャックダンス、あるいはケチャダンスです。ケチャックダンスを含むバリ舞踊は2015年に世界遺産としても登録されています。
バリ島の伝統的な舞踏の一つ、ケチャックダンスには一度見たら忘れられない、そして再び見たくなる魔力があります。今回は、ケチャックダンスの歴史や見どころ、楽しみ方、バリ島で鑑賞できる場所などについて、一気に紹介します。
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バリ島のケチャックダンスとは

夜が訪れ、バリ島の風が穏やかに吹き抜ける。炎の明かりが舞台を照らし出す中で、ダンサーたちがリズミカルに舞い始める、ケチャックダンス。その調べは心をつかみ、見る者を神秘の世界へと引き込んでいきます。バリ島のケチャックダンスは、一見異様な雰囲気に見受けられます。
大勢の男性が上半身裸の格好で円陣上に集まり、チャッ、チャッ、チャッという合唱が始まる模様は、とてもユニークです。50人も、ときには100人以上の男性が奏でる大合唱は、徐々にダンスへと発展し、観客を含む会場を神秘のオーラで包み込むのです。
バリ島三大舞踊の一つ
バリには三大舞踊と呼ばれる代表的伝統ダンスがあり、バリ島には「ケチャックダンス」「レゴンダンス」「バロン・ランダンス」の三大舞踊があります。ケチャックダンスはその一つで、「ケチャ」あるいは「ケチャダンス」とも呼ばれることがありますが、同じダンスのことをさしています。
音楽の演奏はなく、男性の声だけで物語が進行するユニークな舞踊です。伝統舞踊の一つといわれていますが、現在の形に落ち着いたのは100年ほど前の話ですので、それほど古いわけでもありません。
ケチャックダンス名前の由来
「ケチャ」とも「ケチャダンス」とも呼ばれるケチャックダンスですが、その名前の由来は「チャッ、チャッ、チャッ」という掛け声から来ていると考えられます。
まれに「モンキーダンス」とも呼ばれることがありますが、これは「チャッ」の掛け声が重なり合い、サルのように聞こえるためだそうです。一方で、カエルの鳴き声を真似たことが由来だとする説もあるので、その真偽のほどは定かではありません。
バリ島ケチャックダンスの歴史
先ほど、現在私たちが鑑賞できるようなスタイルのケチャックダンスは比較的新しいものだといいました。しかし、ケチャックダンスの起源は古く、伝統的儀式にルーツがあると考えられています。
ケチャックダンスの起源
かつてバリ島では、疫病流行時にそれを鎮める儀式として、「サンヒャン」という儀式を行う風習がありました。この儀式では群衆がトランス状態に陥り、神々と通信を試みました。
これは、楽器を利用せず人の声のみで作られるリズムに乗せて踊るダンスであり、これがケチャックダンスの起源だとみなされています。その響きと霊的な雰囲気は、現代のケチャックダンスにも受け継がれています。
観光客向けにアレンジ
バリ島のケチャックダンスが今のスタイルになったのは1930年代のことです。当時バリ島に住んでいた外国人アーチストたちが中心となり、現在のスタイルのケチャダンスが作り出されました。こうして、ヒンズー教の「ラーマーヤナ」のストーリーに基づいた音楽劇として完成され、観光客向けに公開されるようになりました。
彼らはまた、インドネシア人ダンサーの協力のもと、バリの舞踏団による国際公演を行いました。こうして徐々にケチャダンスは西洋世界にも知られるようになり、バリ島を代表する舞踊として地位を高める結果となったのです。
バリ島のケチャックダンスの魅力

ケチャクダンスの最大の見どころは「チャッ、チャッ、チャッ」の掛け声と、それが作り出す不気味ともいえる独特の雰囲気です。バリ舞踊ではガムランの音楽を背景にダンスが展開されることが多いですが、ケチャックダンスは人の声のみの演奏となります。
ときに100人を超える男性の声が作り出すパーカッション的なハーモニーは、楽器では表現できない神秘性を演出し、会場全体が熱を持つようにさえ感じられます。そんなケチャックダンスの特徴をまとめてみました。

リズムとパフォーマンス
ケチャックダンスの醍醐味は、そのリズムとパフォーマンススタイルにあります。複数のパフォーマーが一丸となり、「ケチャ」の音を合唱します。それがダンスの背景音楽となり、ストーリーが生き生きと描かれます。通常は50人から100人ほどの男性たちが参加する「ケチャ」コーラスですが、ときには150人を超える人々が集まる場合もあります。
合唱団はみなチェックの腰布を巻き、上半身は裸で同心円状に座ります。そして、その円の中心にはココナッツオイルで灯されるランプが置かれます。最初はゆっくりと「チャク、ケチャック…」というハーモニーが起こり、完璧にシンクロしたリズムが作り出されます。ビートが徐々にアップテンポになると、手を伸ばし身体を左右に揺らしてダンスがはじまります。
音楽劇としてのケチャックダンス
ケチャックダンスは、バリ・ヒンドゥー教の経典を元にした「ラーマーヤナ」の物語を舞台化した音楽劇としても楽しめます。観光客に公開されるケチャックダンス公演は約1時間の長さで、シータとラーマがジャングルに追放されるシーンからはじまり、王子ラーマと悪の王ラーヴァナの戦い、さらわれた妃シータを救うための冒険が、声と動きだけで表現されるのが特徴です。
特にクライマックスでは、炎を使った演出や激しい動きが加わり、ストーリーの緊迫感がより際立ちます。音楽を使わずに壮大な物語を表現するこの舞踊は、バリ文化の深みと芸術性を体感できる特別なショーとして、多くの観光客を魅了しています。
衣装と装飾
ケチャックダンスでは、登場人物ごとに特徴的な衣装と装飾が用いられています。たとえば、主人公のラーマ王子は鮮やかな金色の冠と装飾品を身にまとい、高貴な存在感を演出。一方、悪役のラーヴァナは、大きな顔のマスクや赤と黒の力強い色合いの衣装を着て、邪悪な印象を強調しています。
また、シータ姫や白猿のハヌマーンなど、キャラクターごとに細かくデザインされた衣装が舞台を彩ります。観光向けの公演では、さらに華やかな装飾が施され、光や炎を使った幻想的な演出と組み合わさることで、よりドラマチックな舞台が完成します。伝統的なバリの手工芸技術が活かされた衣装は、ケチャックダンスの魅力をさらに引き立てる要素の一つです。
バリ島のケチャックダンスの物語

ケチャックダンスは舞踏団によっても異なりますが、一般的に5つの場面展開で演じられます。古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」の物語が基本になっており、主なキャラクターは、英雄的な王子ラーマ、美しい王妃シータ、そして忠誠心溢れる猿の神ハヌマーンです。
これらのキャラクターを通じて、愛、忠誠、勇気といった普遍的なテーマが描かれます。シータ姫のあでやかな衣装とダンス、敵対する魔王の迫力ある演技や火の上を歩くファイヤーダンスなど、見どころが盛りだくさんです。ツアーに参加して鑑賞する場合は、あらすじが日本語書かれたリーフレットが配布されますが、あらかじめストーリーと場面展開を理解しておくと、より深く楽しむことができます。
追放されたラーマ王子とシータ姫
物語の主人公は、正義の王子ラーマと美しい妃シータ。彼らは、陰謀によって国を追放され、森の中で静かに暮らしていました。ラーマは強く誠実な王子で、どんな困難にも立ち向かう勇気を持っています。
一方、ラーマの弟ラクシュマナも、兄を助けるために同行していました。三人は森の中で平和に暮らしていましたが、その平穏は長くは続きませんでした。彼らの運命を大きく変える存在、魔王ラーヴァナが動き始めたのです。
誘拐されるシータ姫
ラーマとシータが暮らす森に、邪悪な魔王ラーヴァナが現れます。ラーヴァナはシータ姫の美しさに目をつけ、策略を巡らせました。彼は、黄金の鹿に化けた魔物を森に送り込みます。
シータ姫はその美しい鹿に惹かれ、ラーマに「捕まえてきてほしい」と頼みました。ラーマはシータの願いを聞き入れ、鹿を追いかけます。しかし、これはラーヴァナの罠でした。ラーマが不在の間に、ラーヴァナはシータをさらい、自分の城へと連れ去ってしまいます。
シータの嘆き
ラーヴァナの城に囚われたシータ姫は、王宮の庭で一人悲しみに暮れます。彼女はラーマ王子の名前を呼び続けますが、返事はありません。ラーヴァナはシータに自分の妃になるよう迫りますが、彼女は決して屈しませんでした。
シータは、自分が囚われの身でありながらも、ラーマが必ず助けに来ると信じていました。彼女の純粋な愛と忠誠心は、物語の中で重要な要素となり、観客の心を打ちます。
猿神ハヌマーンの予言
シータが絶望していた頃、彼女の元に猿神ハヌマーンが現れます。ハヌマーンはラーマ王子の使者としてシータの元へ向かい、「ラーマ王子は必ずあなたを助けに来る」と励まします。
ハヌマーンは、小さな猿の姿をしていますが、実は神々の力を持つ英雄的な存在です。彼はシータに「ラーマ王子が軍を率いて戦いに来る」と伝え、ラーマの指輪を渡します。これを見たシータは、希望を取り戻し、ラーマの到着を信じて待ち続けることになります。
大暴れするハヌマーン
ハヌマーンは、シータ姫を救うためにラーヴァナの宮殿内で大暴れします。猿神の驚異的な力で、兵士たちを次々となぎ倒し、城の建物を破壊。ラーヴァナは怒り、ハヌマーンを捕らえて火あぶりにしようとします。
しかし、ハヌマーンは燃え上がる炎を利用し、城に火を放ちました。炎に包まれたラーヴァナの宮殿を背に、ハヌマーンは飛び去ります。彼の勇敢な行動は、シータを助けるための大きな一歩となりました。
ハッピーエンド
ラーマ王子は、ついに軍を率いてラーヴァナの城へと攻め込みます。激しい戦いの末、ラーマはラーヴァナを倒し、ついにシータ姫を救い出しました。シータとラーマは再会を果たし、固く抱きしめ合います。
戦いが終わり、すべてが平和になった後、二人は王国へと戻り、幸せな日々を過ごします。ケチャックダンスの公演は、二人が再び結ばれるシーンで幕を閉じ、観客は感動とともにその物語を心に刻みます。
バリ島の現代でのケチャックダンス

進化を続ける舞踏
ケチャックダンスは現代でも進化を続け、観光地としての地位を確立しています。この舞踏は、地域コミュニティのつながりを強化し、文化遺産を次世代に伝える手段ともなっています。
旅行者にとって、ケチャックダンスはバリの伝統と文化を直接体験する貴重な機会です。 舞台を見て、音楽を聴いて、物語に引き込まれることで、訪れた人はバリの精神を深く理解することができます。
バリ島のケチャックダンスと他の芸術

ケチャックダンスは、バリの他の伝統的なパフォーマンス、例えば、レゴンダンスやバロンダンスと並んで人気があります。それぞれのダンスは独自の特性と魅力を持ち、一緒になってバリの豊かな文化と芸術を構成しています。


これらの中で、ケチャックダンスは特に楽器を使わない人の声のみで作り上げられる音楽が印象的です。リズミカルな合唱と共に繰り広げられるラーマーヤナのエピソードは、神秘性を帯び、観客を深く引き込む魔法のような力を持っています。
バリ島でケチャックダンスが見れる場所

バリ島には多くの場所でケチャックダンスを観賞することができますが、以下にその中でも特におすすめのスポットをいくつか挙げてみます。
いずれも単体で有名なバリ観光名所で、各旅行会社からさまざまなツアーが開催されています。ケチャックダンス鑑賞が含まれるプランもありますので、これらを利用するのもおすすめです。
「【プロ厳選】バリ島のおすすめ観光地19選!絶対に行きたいスポットを解説」にて人気の観光スポットを紹介しています。
ウルワツ寺院
ウルワツ寺院は、サンセットの景色が有名なジンバランビーチがあるジンバランから車で約30分の距離にあります。半島の断崖絶壁に建つウルワツ寺院では、茜色の夕暮れ時、海辺の絶景を背景にケチャックダンスを楽しむことができます。その卓越したパフォーマンスは、観客を古代のエピックに引き込みます。
公演は毎日18:00から開催され、料金は約150,000ルピア(約1,500円)。そのため、世界中からたくさんの旅行者が夕日とケチャックダンス見学に訪れます。ダンスを楽しんだ後は、ジンバランでシーフードに舌鼓を打つのもおすすめなプランです。

タナロット寺院
ングラ・ライ国際空港(デンパサール国際空港)から車で1時間ほど、ウブドからも1時間の距離にあるタナロット寺院も、夕日の景色が有名な場所です。海中の岩棚にあり、オレンジ色から紫色へと刻々と変化する空と海に浮かび上がる寺院のシルエットは、誰もが息をのむ美しさです。タナロット寺院の北側に集会場があり、ここでケチャックダンスの公演が行われています。公演は主に観光シーズンに合わせて行われ、料金は約100,000ルピア(約1,000円)。
また、干潮時にはタナロット寺院の足元まで歩いて行くことができ、寺院を間近から鑑賞できます。ただし、ヒンドゥー教徒以外は寺院内に入ることはできませんので、外から見るだけになります。見どころの多い観光スポットですので、少し早めに出かけて散策を楽しむのもおすすめです。

ウブド王宮
ウブド王宮は、バリの芸術と文化の中心地、ウブドに位置しています。ここでは、毎晩ケチャックダンスの公演が行われています。ウブド宮殿でのパフォーマンスは、古代のバリの宮廷の雰囲気を感じながら観賞することができます。
公演は毎週数回行われ、料金は約100,000ルピア(約1,000円)。ウブドの中心部に位置しているため、観光の合間に気軽に訪れることができます。寺院での公演とは違い、より文化的な側面を感じられるのが魅力です。

ダラム・ウブド寺院
ウブド宮殿から徒歩圏内にあるダラム・ウブド寺院でもケチャックダンスが鑑賞できます。観光客でにぎわうウブドの中心にあって、その喧騒を忘れるくらい自然がいっぱいの空間です。
大規模な観光向けのショーとは異なり、現地のダンサーによる本格的な演技が魅力。こぢんまりとした会場で、間近で迫力あるパフォーマンスを体験できます。料金は約80,000ルピア(約800円)とリーズナブルで、静かに文化を味わいたい人におすすめです。
バトゥブラン村
バトゥブラン村は、伝統舞踊の中心地として知られるエリアで、ケチャックダンスの他にも、バロン・ランダンスやレゴンダンスの公演も行われています。舞踊芸術に特化した村ならではの、本格的なパフォーマンスが魅力です。
ここでは、ストーリーの解説がしっかり行われるため、初めてケチャックダンスを見る人にもわかりやすいのが特徴。料金は約100,000ルピア(約1,000円)で、バリの伝統文化をじっくりと楽しみたい人におすすめです。
タマン・カジャ村
タマン・カジャ村は、ウブド近郊にある静かな村で、ローカルの人々によるケチャックダンスが鑑賞できます。ここでは観光向けの派手な演出よりも、伝統に忠実なスタイルの舞踊が楽しめます。
会場がコンパクトなため、ダンサーとの距離が近く、より迫力のある体験ができるのも魅力。料金は約100,000ルピア(約1,000円)で、バリ島の文化を深く知りたい人におすすめなスポットです。
まとめ
ケチャックダンスは、その魅力と影響力においてバリの重要な芸術表現といえます。その独特なリズムとパフォーマンススタイル、そして古代のエピックを基にした物語は、観客に深い印象を与え、バリの文化と伝統を讃えます。
また、この舞踏はバリの重要な文化遺産の一部であり、コミュニティによって世代を超えて伝えられてきました。それはバリの精神と伝統を象徴する存在であり、未来に向けて保存するべきものだと思います。
バリ舞踊の中でも独自性が強いケチャックダンス。 ぜひ、観光プランに組み入れてみてください。