バリ島はその美しい自然や独自の伝統文化で世界中の観光客を惹きつけていますが、旅先で気になるのが「言語」の問題です。
インドネシア語が公用語であるバリ島ですが、観光が盛んなエリアでは英語が広く使われており、日本人観光客が多いため日本語に対応している場所も少なくありません。現地の人々はフレンドリーで、簡単な英語やジェスチャーでもしっかりコミュニケーションが取れるのが嬉しいポイントです。
インドネシアは多言語の国

インドネシアは1万7千以上の島々からなる多民族国家で、公用語のインドネシア語のほかに700以上の地域言語が存在するとされています。民族や地域によって使われる言語が異なるため、多言語社会として独自の文化が発展しています。
たとえばジャワ語やスンダ語、アチェ語などもその一例です。学校教育やメディア、政府機関ではインドネシア語が標準的に使われていますが、家庭や地域ではそれぞれの母語が生きています。こうした背景から、バリ島でも独自の言語文化が息づいているのです。

バリ島の公用語はバリ語
バリ島ではバリ語が伝統的に使われており、現地の人々同士の会話や宗教行事、儀式の際には今でも日常的に使用されています。バリ語には敬語表現や階級に応じた言葉遣いが存在し、長い歴史の中で独自に発展してきました。ただし、バリ語はインドネシア語とは異なる言語であり、観光客には少し難しいかもしれません。
バリ島の子どもたちは学校ではインドネシア語を学び、家庭ではバリ語を話すことが多く、両言語を自然に使い分けています。文化をより深く理解したい方は、基本的なバリ語のあいさつだけでも覚えておくと喜ばれるでしょう。
バリ島ではインドネシア語が使えると便利
観光地バリ島では英語がある程度通じますが、現地の人々との距離を縮めたい場合にはインドネシア語が非常に役立ちます。レストランや市場、交通機関などでは、簡単なインドネシア語のフレーズを使うことでスムーズなやり取りができることが多いです。
たとえば「Terima kasih(トゥリマ カスィ:ありがとう)」「Berapa harganya?(ブラパ ハルガニャ?:いくらですか?)」など、旅行中によく使う表現を覚えておくと便利です。現地の人に好印象を与えやすく、親しみやすい雰囲気を作るきっかけにもなります。言語を通じて旅の体験がより豊かになることでしょう。

英語や日本語が通じる場面も
バリ島の観光地では英語が広く使われており、ホテル、レストラン、ツアー会社などの多くで英語対応が可能です。また、クタやヌサドゥア、ウブドなど日本人観光客が多く訪れるエリアでは、日本語が通じる場所も点在しています。日本語対応のガイドや日本語メニューがあるレストランもあり、初めての海外旅行でも安心して楽しめます。
ただし、すべての場所で日本語が通じるわけではないため、英語の基本フレーズをいくつか知っておくとさらに便利です。言葉の心配が少ないバリ島なら、誰でも気軽に海外の魅力を満喫できます。

バリ島の言語インドネシア語とは

バリ島ではバリ語と並んで、インドネシア語が広く使われています。観光からビジネス、日常会話まで、島のさまざまな場面で活躍する共通語です。
旅行者にとっても比較的覚えやすく、少しの単語でも現地の人々と楽しく交流できます。インドネシア語の基礎を知れば、旅がもっと身近で楽しいものになるでしょう。
文字
インドネシア語は、アルファベット(ラテン文字)を使用する表音言語です。A〜Zの26文字から成り、英語と同じ文字を使いますが、発音や綴りのルールは異なります。たとえば「c」は「チ」、「g」は常に濁音の「グ」と発音されます。外来語を除き、基本的に綴りと発音が一致するため、読み書きの習得が比較的簡単なのが特徴です。
アクセントの位置も安定しており、単語の最後から2番目の音節に自然に強勢が置かれることが多いです。初学者でも音を聞けば意味を想像しやすく、旅行中に使う言葉を覚えるのにも適しています。
音韻
インドネシア語の母音は「a・i・u・e・o」の5つで、日本語に近い発音を持つため、日本人にとって親しみやすい音韻体系です。子音も日本語と似ており、例外的な発音は比較的少なめです。ただし、「ng(ング)」や「ny(ニャ)」のような複合音や、「r」の巻き舌など、慣れるまで少し練習が必要な音も存在します。
語末の「k」は息を詰めるように軽く発音されるなど、細かな違いに注意するとより自然に聞こえます。全体としては明瞭でリズミカルな発音が特徴で、聞き取りやすく、外国人にも人気の高い言語です。
文法
インドネシア語の文法は非常にシンプルで、動詞の活用や時制による変化がありません。たとえば「makan(食べる)」は、過去・現在・未来にかかわらずそのまま使われ、「昨日食べた」は「Saya makan kemarin」、「明日食べる」は「Saya makan besok」と、時間を表す語句を加えるだけで表現できます。
冠詞や複雑な助詞もないため、語順と単語を覚えれば簡単な会話がすぐにできます。また、動詞には接頭辞や接尾辞が付き意味が変化するしくみもありますが、日常会話では省略されることも多く、初心者にも優しい言語です。
基本語順
インドネシア語の基本語順は「主語―動詞―目的語(SVO)」で、英語と同じ構造を持っています。たとえば「私は水を飲みます」は「Saya minum air(サヤ ミヌム アイル)」のようになります。形容詞は名詞の後ろに置かれるのが特徴で、「おいしいご飯」は「nasi enak(ナシ エナッ)」となります。
疑問文も語順を変えることなく、語尾に「kah」や語調を上げることで成立するため、語順のルールは比較的簡単です。こうした構造の分かりやすさが、インドネシア語を初めて学ぶ人にとって大きな魅力となっています。
バリ島で日本語や英語が通じる場所

バリ島には海外からの旅行者が多く訪れるため、日本語や英語に対応した施設も豊富です。特に観光の中心地では、言葉に不安がある方でも安心して滞在できる環境が整っています。ホテルや空港、有名観光地など、言語面でのストレスが少ないのもバリ島の魅力のひとつです。
ホテル
バリ島の主要ホテルでは、英語対応が基本となっており、スタッフの多くがスムーズな英会話をこなします。さらに、クタ、ヌサドゥア、サヌールなど日本人観光客が多いエリアでは、日本語対応可能なスタッフが常駐しているホテルも珍しくありません。
チェックインや観光案内、レストランの予約など、日本語でサポートしてもらえる場面も多く、海外旅行に慣れていない方でも安心です。また、日本語の案内パンフレットやテレビチャンネルを備えたホテルも増えており、快適な滞在が期待できます。予約の際に日本語対応の有無を確認すると、より安心して選ぶことができます。
空港
バリ島の玄関口、ングラ・ライ国際空港(デンパサール国際空港)では、英語が基本的な案内言語として使用されています。案内板や放送も英語対応がされており、入国審査や荷物受け取りもスムーズに行えるよう配慮されています。さらに、日本からの直行便の到着が多いため、日本語の案内表示や日本語が話せるスタッフがいるカウンターも設置されていることがあります。
空港内の免税店や両替所、インフォメーションセンターでは簡単な日本語が通じることも多く、到着直後から安心して行動できます。英語や日本語に対応したタクシーや送迎サービスも充実しており、移動時のストレスも軽減されます。


有名な観光スポット
ウブド、タナロット寺院、ウルワツ寺院、ライステラスなどの有名観光地では、観光客向けの英語対応が進んでいます。ガイド付きツアーの多くは英語で行われていますが、日本語対応のツアー会社も多数存在し、日本語を話すガイドをリクエストすることもできます。
特に日本人観光客が多いスポットでは、案内板や説明資料が日本語表記になっている場所もあります。ショップやカフェでも、片言ながら日本語を話すスタッフがいることが多く、気軽に買い物や食事を楽しめます。言葉に不安がある方でも、笑顔と少しの英語、時にはジェスチャーで十分に楽しめる環境が整っています。
バリ島で観光で覚えておくと便利なインドネシア語

バリ島ではインドネシア語が日常的に使われており、簡単なあいさつや感謝の言葉を覚えておくだけで、旅がよりスムーズで楽しくなります。現地の人とのコミュニケーションも深まり、ちょっとした言葉でも歓迎されることが多いです。以下に旅行中によく使う基本フレーズをご紹介します。
挨拶
インドネシア語で「こんにちは」は「Selamat siang(スラマッ シアン)」です。
時間帯によって挨拶が変わるのが特徴で、朝は「Selamat pagi(スラマッ パギ)」、夕方は「Selamat sore(スラマッ ソレ)」、夜は「Selamat malam(スラマッ マラム)」と使い分けます。
「Selamat」は「良い」という意味で、後ろに時間帯を付けることで自然なあいさつになります。笑顔で言えばぐっと印象が良くなります。
元気ですか?
「元気ですか?」は「Apa kabar?(アパ カバール?)」です。
「Apa」は「何」、「Kabar」は「知らせ・様子」という意味で、直訳すると「様子はどう?」となります。
気軽なあいさつとして日常的によく使われ、会話のきっかけにもなります。返答には「Baik(バイッ/元気です)」と一言返すだけでも十分です。軽く会釈しながら使うと自然です。
元気です!
「元気です!」は「Saya baik(サヤ バイッ)」と言います。
「Saya」は「私」、「Baik」は「良い・元気」という意味で、丁寧な返答として使われます。
さらに丁寧に言いたい場合は「Saya baik, terima kasih(サヤ バイッ、トゥリマ カスィ)」=「元気です、ありがとう」と続けると好印象です。発音のポイントは「k」は語末で軽く「ッ」と切るように発音すると自然です。
ありがとう
「ありがとう」は「Terima kasih(トゥリマ カスィ)」です。
「Terima」は「受け取る」、「Kasih」は「愛・思いやり」という意味で、直訳すると「思いやりを受け取ります」となり、非常に美しい言葉です。
誰かに助けてもらったときや、買い物の後などに使うと喜ばれます。「r」は巻き舌気味、「h」は息を強めに出すのがコツです。
御礼申し上げます
より丁寧に「感謝申し上げます」と言いたい場合は、「Terima kasih banyak(トゥリマ カスィ バニャッ)」を使います。
「Banyak」は「たくさん」という意味で、「本当にありがとうございます」といったニュアンスになります。目上の人やフォーマルな場面で使える表現で、ホテルスタッフなどに丁寧にお礼を伝えたいときにぴったりです。
どういたしまして
「どういたしまして」は「Sama-sama(サマ サマ)」です。
「Sama」は「同じ」という意味で、「お互いさま」という感覚の言葉です。
相手が「Terima kasih」と言ってくれたときに笑顔で「Sama-sama」と返すと自然な会話になります。明るく元気に言うと親しみが伝わりやすくなります。
ごめんなさい
「ごめんなさい」は「Maaf(マアフ)」です。軽い謝罪から、しっかりしたお詫びまで使える便利な言葉です。
さらに丁寧に言いたい場合は「Maaf ya(マアフ ヤ)」=「ごめんね」や、「Maafkan saya(マアフカン サヤ)」=「申し訳ありません」と言うこともできます。特に観光中にうっかりマナーを外れてしまったときなど、一言添えるだけで印象が大きく変わります。
バリ語とインドネシア語の数字
バリ島では日常生活の中でバリ語とインドネシア語の両方が使われていますが、数字に関してもそれぞれ異なる言い方があります。
アラビア数字(0, 1, 2, 3・・)での表記も多いですが、市場での買い物や料金交渉の場面で、数字を少し覚えておくと役立つことがあります。以下に両言語の基本的な数字を表でご紹介します。
基本の数字
数字 | インドネシア語 | 発音(カタカナ) | バリ語 | 発音(カタカナ) |
---|---|---|---|---|
1 | Satu | サトゥ | Esa | エサ |
2 | Dua | ドゥア | Dua | ドゥア |
3 | Tiga | ティガ | Telu | テルゥ |
4 | Empat | ウンパッ | Pati | パティ |
5 | Lima | リマ | Lima | リマ |
6 | Enam | ウナム | Nem | ネム |
7 | Tujuh | トゥジュ | Pitu | ピトゥ |
8 | Delapan | ドゥラパン | Kutus | クトゥス |
9 | Sembilan | スンビラン | Sanga | サンガ |
10 | Sepuluh | スプルゥ | Dasa | ダサ |
※ バリ語には地域や文脈によって異なる言い回しも存在します。
桁の大きな数字
数字 | インドネシア語 | 発音(カタカナ) | バリ語 | 発音(カタカナ) |
---|---|---|---|---|
100 | Seratus | スラトゥス | Atus | アトゥス |
1,000 | Seribu | スリブ | Tali | タリ |
10,000 | Sepuluh ribu | スプルゥ リブ | Laksa | ラクサ |
100,000 | Seratus ribu | スラトゥス リブ | Ketakson | クタクソン |
1,000,000 | Satu juta | サトゥ ジュタ | Yuta | ユタ |
観光中は主にインドネシア語での数字を使う場面が多いですが、バリ語の響きも美しく、現地の人と仲良くなるきっかけにもなります。興味があれば、ぜひ両方チャレンジしてみてください。
バリ島で使える基本の挨拶・会話

バリ島ではインドネシア語や英語が主に使われていますが、旅先でのちょっとしたひと言が、現地の人との距離をぐっと縮めてくれます。
ここでは、観光中によく使う基本の挨拶や会話フレーズをシーン別にご紹介します。覚えやすいものばかりなので、ぜひ気軽に使ってみてください。
挨拶編
観光の始まりはやっぱり笑顔とあいさつから。「おはようございます」は「Selamat pagi(スラマッ パギ)」、「こんにちは」は「Selamat siang(スラマッ シアン)」、夜には「Selamat malam(スラマッ マラム)」と時間帯によって使い分けます。
別れの際は「Sampai jumpa(サンパイ ジュンパ)=また会いましょう」もおすすめです。こうした基本表現を使うだけで、現地の人も自然と笑顔を返してくれます。発音はゆっくり、はっきりと話すのがポイントです。
観光編
観光地では道を尋ねたり、写真をお願いしたりすることがよくあります。「どこですか?」は「Di mana?(ディ マナ?)」、「○○へ行きたい」は「Saya mau ke ○○(サヤ マウ ク ○○)」です。
「写真を撮ってもいいですか?」は「Boleh saya ambil foto?(ボレ サヤ アンビル フォト?)」と聞くと丁寧な印象になります。観光スポットでは英語も通じますが、こうした基本表現を知っておくと安心です。
ショッピング編
買い物中は値段交渉やちょっとした会話が楽しみのひとつ。「いくらですか?」は「Berapa harganya?(ブラパ ハルガニャ?)」、「ちょっと高いですね」は「Agak mahal ya(アガッ マハル ヤ)」と、やんわり伝えることもできます。
「これください」は「Saya mau ini(サヤ マウ イニ)」、「安くしてください」は「Bisa lebih murah?(ビサ ルビ ムラッ?)」で、交渉もスムーズになります。笑顔で話すと親切にしてもらえることが多いです。
レストラン編
レストランではオーダーやおすすめを聞く時に便利な表現があります。「おすすめは何ですか?」は「Apa rekomendasinya?(アパ レコメンダスィニャ?)」、「これをください」は「Saya pesan ini(サヤ プサン イニ)」、「辛くしないでください」は「Jangan pedas(ジャンガン プダス)」です。
食後には「おいしかったです=Enak sekali(エナッ スカリ)」と伝えると喜ばれます。店員とのちょっとした会話も、旅の思い出になりますので、ぜひ使ってみてください。
ホテル編
ホテルでのチェックイン・チェックアウトや質問時には丁寧な表現が役立ちます。「予約しています」は「Saya sudah pesan(サヤ スダ プサン)」、「チェックアウトしたいです」は「Saya mau check out(サヤ マウ チェック アウト)」、「Wi-Fiはありますか?」は「Ada Wi-Fi?(アダ ワイファイ?)」と聞けます。
「ありがとう」は「Terima kasih(トゥリマ カスィ)」で伝え、最後に「Sampai jumpa(サンパイ ジュンパ)」と笑顔で別れれば、気持ちよく滞在を終えられます。
まとめ
バリ島は美しい自然と文化だけでなく、言葉の面でも旅人に優しい場所です。インドネシア語や英語、日本語も通じる場面が多く、言葉に不安があっても安心して過ごせます。
さらに、バリ語やインドネシア語のあいさつを少し覚えるだけで、現地の人々とのふれあいが一層楽しくなります。言葉を通して心がつながる体験は、旅の思い出をより深く、特別なものにしてくれるはずです。