バリ島東部、静かな自然に囲まれたカランガスム地区に位置する「タマンウジュン」は、美しい水の宮殿として知られています。この場所は、バリの伝統と芸術が融合した庭園で、人々にとっても特別な憩いの場です。
インド洋を背景に、噴水や池、壮麗な建築が調和するこの宮殿は、訪れる人々に心地よい安らぎと驚きを提供します。観光客にとっても必見のスポットであり、写真映えする景色や豊かな歴史を体感できる場所です。今回は、タマンウジュンの概要やアクセス方法、観光のポイントについて詳しくご紹介します。
タマンウジュン概要

「タマンウジュン」は、1909年にカランガスム王国のアナック・アグン・アンカス・クラニン王によって建設されました。当時、王族の離宮として使われており、儀式や瞑想の場としても利用されていました。宮殿は広大な敷地を誇り、中央には透明度の高い池が広がり、伝統的なバリ建築のパビリオンや石彫りの橋が配されています。
また、背景にはアグン山がそびえ、壮大な自然美を見ることができます。「東の水の宮殿」として世界的にも知られるこの場所は、訪れるだけでその歴史と神秘を肌で感じることができます。
水の宮殿
タマンウジュンは1909年にカランガッサム王によって建設された王族の水の離宮で、「スカサダ・タマン・ウジュン」とも呼ばれています。敷地内には複数の池が配置され、それを結ぶアーチ状の橋や回廊が美しく、水面に映る建築のシルエットがまるで絵画のよう。
建築様式はバリ伝統とヨーロッパのコロニアルスタイルが融合しており、異国情緒と王室の品格が感じられます。中央の建物「バレ・ゲディング」からは庭園全体を見渡せ、背後にそびえるアグン山や青空とのコントラストも絶景です。現在は一般に開放されており、歴史と自然の両方を味わえる観光スポットとして、多くの旅行者に親しまれています。
タマンウジュンの見どころ

タマンウジュンは、美しい庭園と歴史的建築が調和した、水と芸術の宮殿です。広大な敷地内には池や橋が配され、その周囲には趣ある石像や精巧な彫刻、噴水が点在しています。
建築の美しさだけでなく、細部にまでこだわった装飾が随所に見られ、散策するだけでバリ王朝時代の雰囲気を感じられます。静けさと優雅さに包まれた空間は、写真スポットとしても人気です。
石像
タマンウジュンの敷地内には、バリ・ヒンドゥー教にゆかりのある神々や神話の登場人物をかたどった石像が数多く配置されています。池の縁や橋の上、階段の脇など、さりげない場所に配置されたこれらの石像は、まるで庭園に命を吹き込んでいるかのような存在感があります。
一体一体が異なる表情を持ち、時には優しく、時には厳かな雰囲気を漂わせており、訪れる人の想像力をかき立てます。これらの石像は装飾としてだけでなく、神聖な意味も持ち、庭園全体を守護する存在とも考えられています。
彫刻
タマンウジュンのもう一つの大きな魅力は、建物や橋、回廊の随所に見られる緻密な彫刻です。バリ島特有の伝統的な文様に加え、西洋の装飾技術も取り入れられており、東西の美が融合した独自のスタイルが特徴です。
窓枠や柱、階段の手すりなどに施された細やかな彫刻には、植物や神話のモチーフが彫り込まれており、建築全体に豊かな表情を与えています。これらの装飾は、単に美しいだけでなく、バリ王族の美意識や信仰心を物語る重要な要素です。じっくり観察しながら歩くことで、建築の精巧さと芸術性の高さをより深く味わうことができます。
噴水
タマンウジュンにはいくつかの噴水が設けられており、池と庭園に動きと音のアクセントを与えています。噴水は庭園の中心部や池の中に点在しており、水が穏やかに湧き出る様子が優雅な雰囲気を生み出しています。風に揺れる水しぶきや、きらきらと輝く水面は、まさに「水の宮殿」と呼ばれるにふさわしい光景です。
また、噴水は単なる装飾ではなく、敷地内の水循環や風通しの役割も担っており、王族の暮らしの中で心地よい空間づくりに一役買っていました。音と景観が調和した噴水の存在は、訪れる人々に心地よい静けさと癒しをもたらしてくれます。
タマンウジュンのイベント

タマンウジュンでは、庭園としての美しさだけでなく、歴史的・宗教的な意味を持つイベントも行われています。王族ゆかりのこの地では、寺院の創建を祝う「ピオダラン祭」や、バリ島全土で行われる「ガルンガンとクニンガン」、さらに王族に関する記念式典などが不定期に開催され、神聖で華やかな雰囲気に包まれます。通常とは異なる荘厳な姿を楽しめる貴重な機会です。
ピオダラン祭
ピオダラン祭は、バリの寺院で行われる創建記念祭で、タマンウジュン内にある寺院でも210日に一度(バリ暦のウク暦に基づく)盛大に開催されます。この日は、現地住民が正装で集まり、色とりどりの供物や花飾りを持って寺院に参拝します。ガムランの演奏や祈りの儀式が行われ、敷地全体が神聖な空気に包まれます。
観光客も見学することができ、バリの宗教文化を肌で感じる絶好の機会です。祭りの期間中は敷地内に特別な装飾が施され、普段とは異なる荘厳な雰囲気を楽しめます。
ガルンガンとクニンガン
ガルンガンとクニンガンは、バリ・ヒンドゥー教最大級の祭礼で、祖先の霊が地上に戻るとされる神聖な期間です。ガルンガンは210日ごとに行われ、10日後のクニンガンで締めくくられます。
タマンウジュンの敷地内でもこの期間になると、ペンジョール(竹製の飾り)が立ち並び、王族の子孫やバリ島の人々が盛装して祈りを捧げる様子を見ることができます。伝統衣装をまとった人々の姿やガムランの音色が響き渡る中、バリならではの信仰と日常が交差する瞬間を味わうことができる貴重な時期です。
王族関連の記念式典
タマンウジュンはカランガッサム王朝の王族により建てられた歴史ある庭園であり、現在でも王族に関連する記念式典が不定期で行われています。これには王族の誕生日、命日、あるいは功績を称える行事などが含まれ、バリ島の伝統衣装をまとった人々が集まり、ガムラン演奏や舞踊の奉納が行われます。
観光客は事前に日程を確認する必要がありますが、幸運にもその日に訪れれば、普段は見られない格式ある儀式の様子を間近に体験できます。華やかで厳かな雰囲気に包まれた庭園の姿は、まさに「生きた歴史遺産」。バリ文化の奥深さと伝統を感じられる、貴重な一日となるでしょう。
タマンウジュンへの行き方

タマンウジュンはバリ島のングラ・ライ国際空港(デンパサール国際空港)から車で約2時間半の距離に位置しています。アクセスにはタクシーやカーチャーター(運転手付レンタカー)が一般的で、運転手付きのチャーターカーを利用する観光客も多いです。バリ島東部を巡るツアーに含まれることもあるため、旅行代理店で事前に確認しておくと便利です。
「【プロ厳選】バリ島のおすすめ観光地19選!絶対に行きたいスポットを解説」にて人気の観光スポットを紹介しています。

タクシー
タクシーを利用する場合、デンパサールやクタ、サヌールなどの主要エリアから直接タマンウジュンまで移動ができます。距離は約70km、所要時間は約2〜2.5時間。片道料金はおよそ500,000〜700,000ルピア(約5,000〜7,000円)が目安です。GrabやGojekなどの配車アプリを使えば、料金を事前に把握できるため安心です。
ただし、帰りのタクシーを現地で確保するのは難しいことがあるため、往復料金で予約しておくか、待機してもらうようドライバーに依頼するのが無難です。短時間だけの訪問やシンプルな移動には、タクシーがおすすめです。

カーチャーター
カーチャーターは、タマンウジュンを含むバリ東部の観光を1日かけて効率よく巡りたい方におすすめです。デンパサール出発であれば、往復と観光時間を含めて約8〜10時間の利用が一般的で、料金は600,000〜900,000ルピア(約6,000〜9,000円)ほど。
ドライバー付きなので、言語に不安がある場合でも安心して利用でき、途中でティルタガンガやアグン山周辺などの名所にも立ち寄れます。自由に時間とルートを調整できる柔軟さがあり、グループ旅行や家族連れにもぴったりの、もっとも便利で快適な移動手段です。

タマンウジュン観光のベストシーズン

タマンウジュンを訪れるなら、天候が安定する乾季(4月〜10月)が最もおすすめです。晴天が多く、池に映る建築や蓮の花、遠くに見えるアグン山まで、美しい景観を存分に楽しめます。
一方、雨季(11月〜3月)は緑が濃く、観光客も少ないため、静かで幻想的な雰囲気を味わえます。バリ島の主要な祝祭日や観光シーズン(7月・8月、年末年始)は混雑することがあるため、スケジュール調整をすることでより充実した訪問が楽しめます。

乾季
乾季(4月〜10月)のタマンウジュンは、観光に最も適した時期です。この期間は晴天が続き、湿度も比較的低いため、快適に庭園内を散策することができます。水の宮殿と呼ばれる美しい池に建物が映り込む風景は、晴れた日だからこそ見られる絶景。
また、雨の心配が少ないので、ガーデンウェディングや記念撮影などのイベントにも人気があります。遠くにはアグン山の雄大な姿が見え、バリ島らしい自然と建築が融合した景観をじっくりと楽しめる季節です。特に観光客が多くなる前の午前中の訪問がおすすめです。
雨季
雨季(11月〜3月)のタマンウジュンは、スコールに注意が必要ですが、別の魅力が味わえる時期でもあります。雨上がりには池の水位が増し、建物や橋の映り込みがより鮮明になって幻想的な光景が広がります。庭園の植物もみずみずしく、蓮や草花がより鮮やかに映えるため、緑あふれる写真を撮りたい方にはぴったりの季節です。
観光客も比較的少ないため、静かな環境でゆっくりと過ごしたい方におすすめ。傘やレインコートを用意しておけば、雨季でも十分に楽しめる、落ち着いた雰囲気の中での観光ができます。
タマンウジュンの服装
タマンウジュンは、屋外を歩きながら巡る庭園型の観光地であり、また王族ゆかりの神聖な場所でもあります。そのため、動きやすさに加え、露出を控えた上品な服装を心がけることが大切です。強い日差しや暑さへの対策も必要で、季節に応じて帽子や羽織ものの携帯がおすすめです。以下では、男女別に適した服装をご紹介します。
女性
女性がタマンウジュンを訪れる際は、肩や膝が隠れる服装が基本です。ミニスカートやキャミソールなど肌の露出が多い服装は、王族ゆかりの神聖な場所という観点から避けるのがマナーとされています。ワンピースやロングスカート、七分袖のブラウスなどが理想的で、軽く羽織れるストールを1枚持参しておくと、体温調節や日よけにも役立ちます。
また、庭園内は階段や石畳が多いため、ヒールよりもフラットシューズやスニーカーの方が安心です。強い日差しに備えて、帽子やサングラスも用意しておくと快適に観光を楽しめます。
男性
男性もまた、タンクトップや短すぎるパンツなど、カジュアルすぎる服装は控えめにした方が良いでしょう。Tシャツとハーフパンツ程度であれば問題ありませんが、寺院や王族ゆかりの場所という点を意識し、清潔感のある服装を心がけることが大切です。特に宗教儀式や特別なイベントと重なる日には、襟付きのシャツや七分丈のズボンなど、よりフォーマル寄りな装いが好まれます。
また、庭園内は広く、日差しも強いため、帽子やサングラスを持参すると快適です。足元は歩きやすさを重視してスニーカーがおすすめで、滑りにくく長時間の移動にも適しています。場にふさわしい装いを意識することで、気持ちよく過ごせる観光になります。
タマンウジュン観光の注意点
タマンウジュンは、美しい庭園と王族ゆかりの建築が魅力のスポットですが、神聖な場所でもあるため、観光時にはいくつかの注意が必要です。
マナーを守ることはもちろん、自然豊かな環境ならではの虫対策や、写真撮影の際の配慮も大切です。静けさと格式を保つこの場所を心地よく楽しむために、以下のポイントを意識しましょう。
マナー
タマンウジュンはかつて王族の離宮として使われていた歴史ある場所で、今も現地の人々から神聖な存在として敬われています。そのため、大声で話したり、建物や石像に登ったりといった行為は控えるべきです。敷地内では、静かに散策しながらバリの伝統と自然を感じることが大切です。
また、イベントや儀式が行われている場合は、その場に敬意を払い、邪魔にならないよう距離を保つこともマナーのひとつです。特に宗教的な行事や王族関連の式典中は、写真撮影やスマートフォンの使用にも配慮が必要です。観光客として訪れる際も、文化的背景を理解し、敬意ある行動を心がけることで、より深い旅の体験が得られるでしょう。
虫除け
タマンウジュンは池に囲まれた庭園で、水辺が多いため、蚊や小さな虫が発生しやすい環境です。特に雨季や夕方の時間帯は、虫刺されのリスクが高まるため、虫除け対策が欠かせません。肌の露出が多い服装では、蚊に刺されやすくなり、かゆみや赤みなどで観光に集中できなくなることもあります。
スプレータイプの虫除けを事前に体に塗っておくのはもちろん、バッグに小型の虫除けグッズを携帯しておくと安心です。特にお子様連れの方は、事前の対策をしっかりと行って、安心して散策を楽しんでください。
写真撮影
タマンウジュンは、フォトスポットとしても非常に人気のある観光地です。池に映る建築や橋、石像など、どこを切り取っても美しい風景が広がっています。ただし、写真撮影の際には他の観光客への配慮が必要です。
また、ドローン撮影は禁止されている場合があるため、使用前に必ず現地で確認を。宗教行事や王族の式典が行われている場合には、人物の撮影は避けるのがマナーです。静けさと格式ある空間を保つためにも、周囲の雰囲気に気を配りながら、美しい思い出を写真に収めましょう。
タマンウジュン周辺の治安
バリ島東部のタマンウジュン周辺は、比較的安全なエリアとして知られています。観光地として整備されており、現地住民も観光客に親切です。
ただし、夜間の人通りが少ない場所では、貴重品の管理に注意が必要です。観光客を狙ったスリや詐欺も報告されていますので、基本的な安全対策を守りましょう。

タマンウジュンへの持ち物
タマンウジュンは広大な敷地に池や回廊が広がる屋外観光地です。自然の中を長時間歩くことになるため、快適に過ごすための準備が欠かせません。特に水分補給や日差し対策、足元の安全確保などが重要です。
「バリ島旅行の持ち物リスト。絶対に持って行くべきものから、あると便利なものまで」にてより詳しい持ち物を紹介します。

飲み物
タマンウジュンは広い屋外に位置し、特に乾季には強い日差しと高温にさらされます。園内を歩いて回るには思った以上に体力を使うため、こまめな水分補給がとても大切です。現地にも売店がありますが、混雑時や営業時間外のことを考えると、自分で飲み物を用意しておくと安心です。
特にペットボトルの水やスポーツドリンクなど、持ち運びやすく、すぐに飲めるものがおすすめです。脱水や熱中症を防ぐためにも、30分に一度を目安に少しずつ飲む習慣を。
日差し対策
タマンウジュンは開けた庭園が特徴で、池や橋などの見どころはほとんど屋根のない場所にあります。そのため、日差しが強いバリでは日焼けや熱中症対策が欠かせません。帽子、サングラス、日焼け止めはぜひ持参したいアイテムです。特に日焼け止めはこまめに塗り直せるよう、持ち歩きに便利なミニサイズがおすすめです。
また、UVカットのストールや薄手の長袖を羽織ることで、直射日光から肌を守ることができます。見学に集中しすぎてうっかり日焼けしてしまう人も多いので、事前の準備が大切です。
歩きやすい靴
タマンウジュンの敷地は広く、池の周囲をめぐる通路や石橋、階段など起伏のある場所も多くあります。そのため、長時間の散策に適した歩きやすい靴を選ぶことが大切です。ヒールやサンダルでは足が疲れやすく、滑る危険性もあるため、スニーカーやフラットシューズのような、足全体をしっかり支えてくれる靴がおすすめです。特に雨季には地面がぬかるむこともあるため、滑り止めの付いた靴を選ぶとさらに安心です。おしゃれな観光地である一方で、足元の快適さが観光の充実度に直結します。写真映えを重視しつつも、安全と歩きやすさを兼ね備えた靴を用意しておくと安心です。
タマンウジュンとあわせて行きたい観光スポット
ランプヤン寺院

ランプヤン寺院(Pura Lempuyang)は、バリ島東部に位置する神聖なヒンドゥー教の寺院で、「天国の門」として知られています。アグン山を背景にした門越しの風景は、幻想的で写真映えするスポットとして世界中から観光客を惹きつけています。
標高約1,200メートルの地点にあり、清らかな精神を保ちながら階段を登る巡礼が行われます。静寂に包まれた境内は神秘的な雰囲気に満ち、バリの伝統文化や信仰の深さを感じられる名所です。自然と文化の調和が織り成す魅力は訪れる価値があります。

まとめ
タマンウジュンは、バリ島の豊かな歴史と自然が融合した特別な場所です。その美しい庭園と穏やかな雰囲気は、訪れる人々を魅了し、特別な思い出を作ること間違いありません。
乾季の晴天時に訪れることで、その魅力を存分に味わえます。また、アクセス方法や服装、持ち物を事前に準備することで、より快適に観光を楽しめます。タマンウジュンは、忙しい日常から離れて心を癒すのにおすすめなスポットです。ぜひ、次回のバリ島旅行で訪れてみてください。
